「借りられる額」と、長い返済期 間を通じて無理なく「返せる額」は異なるのです。今は史上空前の低金利時代ですが、目先の金利や月返済額だけにとらわれず 「返せる」ローン計画を立てましょう。
5年先、10年先、20年先でも「返していけるのか」しっかりと確認することが重要です。住宅ローンを組むにあたって大切なのは、金融機関から「借りられる額」でなく「返せる額」を考えて、ローンの返済計画を立てることです。近年では、個人への融資を増やしたい金融機関は、年間の返済額が年収の35%ぐらいまで融資する例が多くなっています。場合によっては、40%も超えるケースもあるようです。しかし、「借りられる」限度額までいっぱいに借りてしまうと、いざお金が必要な時期に返済がかなり厳しくなります。今は勤続年数が増えても給与は上がらない時代といわれ、とくに子どものいる家庭は将来、生活費・教育費が増えることを見越して、先々になっても返していける資金計画を考えておかなければなりません。
子育て世帯の「返せる」返済計画のポイントの一つは、年間のローン返済額を年収の20%以下に抑えておくことです。すなわち、無理のない返済です。返済比率が年収の20%以下であれば、教育費に回せる資金か増えて、公立私立を問わず、子どもの希望の進路に対応できます。またゆとりの分を貯蓄しておき。繰り上げ返済資金にあてることもできます。
教育費を考慮して返済期間を長めにする事も必要!!
無理のない「返せる」ローンのもう一つのポイントは、契約者のローン完済時の年齢が70歳以下になるように設定することです。一般に、返済期間は短いほうが利息は少なくてすみますが、子育て世帯は返済期間35年以内、70歳以内の間で、長めに借りて月々の返済を抑えておいたほうが、教育費などの変化には対応しやすくなります。短く設定すと、あとから長くすることは出来ないのです。
共働き世帯は、夫婦で働けばそれだけ年収もローンを返せる額も増えますが、妻の収入は育児や介護などの理由で変動しやすいことを考慮しておくことが重要です。妻の収入は、全額ではなく一部を住宅ローンの返済計画に加えるか、繰り上げ返済資金などのゆとりのお金と考えるようにすると安心なのではないでしょうか。
返済比率は年収の20%以下に抑えること!!
収入に占める住宅ローンの割合が高くなるほど、必然的に家計は苦しくなり、ちょつとした収入や支出の変化で破綻に陥るリスクが高まります。子どものいる世帯は、将来の教育費の負担に備えて「返済は年収の20%以下」にしておくと安心です。返済比率が25~30%を超えると、家計はかなり圧迫されます。何かあれば住宅ローンの支払いにも影響するでしょう。
控除額と持ち分に注意
返済期間は35年以内、70歳以内の間にする
連帯保証型
連帯債務型
金利タイプを どう選ぶかがポイント!!
返済中に金利がかわるものと かわらないものがあります。住宅ローンの商品特性を決める大事な要素に、変動金利や固定金利などの金利の決め方があります。変動金利は市場の金利の動きに応じて返済期間中に金利がかわるもの、固定金利は当初に決めた金利をかえずに返すもので、返済終了までの金利か決まっているものを「全期間固定」や「完全固定」と呼びます。ただし、民間ローンでは、一時、全期間固定か姿を消していて、主流は「固定期間指定型」になりました。その特徴については下に整理しましたが、変動金利を基本システムにしながらも、特約で一定期間の金利を固定できるものです。金融機関ごとに選べる期間や金利が決まっており、ほとんどの金融機関が用意しているのが2年、3年、5年、10年などです。もっと多くの選択肢を用意する機関もあります。
ローンの種類と選べる 金利タイプの関係を整理!!
★「転勤になったら貸せばいい」の落とし穴
せっかくマイホームを購入したのに転勤になってしまったら……。お客様に「転勤の可能性はありますか?」と尋ねると、「転勤になったら、賃貸に出して家賃を返済にあてればいいですよね」と答える人がほとんどです。これは実は、非常に危ない考え方なのです。「家賃収入=ローン返済額でトントン」と考えていると落とし穴にはまります。購入後の住居費には、ローン返済以外に固定資産税や火災・地震保険料などが発生しますから、家賃収入とローン返済額が同程度なら、その他の住居費分は持ち出しになるのです。赤字を出さずに家賃収人を得ようとすると、家賃は結構高い金額になり、借り手がつきにくくなることも……。おまけに転勤により家族で転居すると、住んでいない間はローン減税が受けられません。仕事柄、転勤の可能性が高い人は、さまざまな角度からローンのリスクを検証したうえで購入を検討しましょう。
「返済比率25%以内なら安心」はウソ!!
「ローンの返済額が収入の25パーセント以内なら安心です」住宅販売の現場でよく言われる言葉です。こうした数字は単なる目安であって、根拠は全くありません。
それぞれの家庭によってライフスタイルが違うのですから、年収だけから資金計画を律に考えるのは危険です。収入の中から住宅ローンの返済に充てられる割合は、各家庭の事情によって当然異なるはずです。それなのに、「返済比率25%以内なら安心ですよ」などと営業マンに言われると、ついその言葉に忠実に従ってしまう人が多いのです。少しでもいい環境に、少しでも魅力的な家を建てて住みたいと願うのは、万人に共通する思いです。けれども家づくりに費やせる資金には限りがあります。どこに折り合いをつけていいのかが分からず、家づくりを真剣に考えている大ほど、こうした悩みにぶつかってしまいます。そんななかで、「返済比率25%内なら大丈夫ですよ」という言葉を信じて家づくりに失敗する人の何と多いことか。
家づくりの後悔の8割は、資金計画に端を発しています。無理な資金計画により、住宅ローンの返済に行き詰まったらどうなるのでしょうか。住宅ローンは2年や3年で終わるものではありません。20年~30年という非常に長い返済期間になります。その間には突発的な病気やケガもあるでしょう。運悪くリストラにあって収入が途絶えてしまうことも考えられます。リストラにあっても住宅ローンの返済は待ってくれません。貯金を切り崩して返済に充てながら、次の就職先を探すしかありません。無理なローンを組んでいなければ、比較的長い期間収入が途絶えても乗り切ることができます。しかし、身の丈以上のローンを組んでいる場合には、悠長なことを言ってはいられません。最悪の場合、貯金が底をつき、就職先も決まらずに収入が得られなくなることもあります。―か月分の返済を延滞すると、翌月は前月の返済分と合わせて払わないといけません。大ピンチです。リストラにあって収入も貯金もない人が2か月分もの返済など、とてもできるわけはないですよね。住宅ローンを組む際、金融機関は貸し倒れのリスクを回避するために連帯保証人を立てることを求めてきます。しかし、支払期間が長く金額も大きいので、なり手はそう簡単に見つからないことを覚悟しなければなりません。そのため現在では、個人の代わりに保証機関に保証人になってもらいます。もちろん、有料です。
もしもあなたが住宅ローンを支払うことができなくなった場合は、保証機関が金融機関への支払いを全錺屑代わりしてくれます。しかし、あなたの保証機関への支払い義務は残ります。もちろん、延滞利息をプラスした残饋を払わなくてはなりません。保証機関では、利息分だけを最低限支払うという約束で元金の繰り越しをしてくれるので、当座はしのぐことができるはずです。それでも支払能力を回復できなければ、次のような事態に陥ります。
- 返済が不可能になることによって、家を手放したり破産を余儀なくされる
- 返済期間を引き延ばすことによって、定年退職後も退職金や年金で返済を続けなくてはならなくなる
- 家計を切り詰めた生活を余儀なくされ、心にも余裕がなくなる
- 返済比率は25%ではなく、20%以内で検討しましょう。
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