住宅ローン選びは、これを読んでおけば安心

住宅ローン

ローンの金利タイプを選ぶポイント

住宅ローン選びは、 長い目で見て比較検討を!!

住宅ローンを選ぶポイントは、はっきりと言って金利です。ローンの支払いは長期になりますから、少しの金利の差が、長い目で見ると大変大きな違いになります。住宅ローンの金利には、ローン期間中は金利が変わらない「固定金利」と、金利か変わる「変動金利」、当初数年間は固定でその後は、固定か変動かを選べる「固定金利選択型」があります。それぞれにメリット、デメリットがあります。金利タイプごとの特徴をよく理解して、自分にあったローンを選部ことが重要です。

住宅ローンの見積もりは必ず数社に頼み、さらに勤め先の会社の提携ローン、不動産会社がすすめる提携ローン、銀行窓口やインターネットでのキャンペーン金利など、面倒がらずマメに情報を集め、比較検討するべきです。インターネットの比較サイトの利用もよいでしょう。

金利はこまめに計算してみよう!!

住宅ローン見積もりは数社に依頼し、 長い目で見て比較検討をしましょう。キャンペーンなどの優遇金利を検討している場合、当初数年間の優遇幅が 大きい場合と、全期間が同一優遇金利になる場合との2つのタイプがあります。一般に安心なのは後者ですが、借りる前に必ず総支払い額を計算してみ てください。また、ローンの借入金利が確定する時期にも注意が必要です。ほとんどのローンは融資実行時(資金受け取り時) の金利で確定します(財形住宅融資は申込時点)。変動金利は、申し込んだときと金利が変わっていますので、ローンが決定したら、再度計算をしてみましょう。

資金は余裕を持って用意しておくと、 物件の引渡し時に、数十万円以上のキ ャッシュが手元に残ることがあります。ローン返済のために使おうと決めてい るお金なら、将来の繰上返済のために貯蓄しておくよりも、購入時の頭金をアップさせることをおすすめします。繰上返済の場合は、返済までの期間 の利息の負担がありますし、1回につ き数万円程度の手数料がかかってしまいます。しかし、頭金に充当する方法 だと、契約書を書き直す手間はありま すが、たとえば金利3%、30年ローン の場合、3,000万円ローンを2,900万円に減らせば、50万円以上の支払い 利息が節約になるのです。

金利タイプの種類と選ぶポイント

1.【変動金利】

●特徴

・適用金利の上限を設けた上限金利設定型、預金残高が増えると金利が下がる預金連動型がある

・金利は、年2回、プライムレートの水準に応じて変動

・返済額は、5年ごとに見直される

●メリット

・固定金利より当初金利が低い

・将来金利が下がれば恩恵がある

●デメリット

・返済額が増える場合、元の返済額の1.25倍を超えないように調整されるため、金利 上昇時には未払い利 息が発生するおそれがある。

●こんな時に選べ

・将来の金利低下が期待できる
・将来の収入アップが期待できる

2.【全期間固定金利】

メリット

完済まで金利、返済額が変わらないので安心して資金計画を立てることができる
フラット35ならほとんどの金融機関で利用できる
返済期間を短くすれば金利が低くなるローンもある

 

完済まで金利、返済額が変わらないので安心して資金計画を立てることができる
フラット35ならほとんどの金融機関で利用できる
返済期間を短くすれば金利が低くなるローンもある

 

デメリット

変動金利型や固定期間選択型より金利が高い
金利が低下したときにも返済額が変わらない

 

変動金利型や固定期間選択型より金利が高い
金利が低下したときにも返済額が変わらないので、金利低下メリットを享受できない

 

低金利のいまこそ全期間固定金利型が有利!!

全期間固定金利型というのは、借入後に市中の金利が変わっても、適用金利は借入時の金利のままで、それが完済まで変わらないというローンです。したがって、完済まで返済額もまったく変わらないので、安心して資金計画を立てることができます。このタイプには、借入後に金利が上がっても返済額は増えない半面、金利が下がった場合にも返済額は変わらないので、金利低下のメリットを享受できないという大きなデメリットがあります。

しかし、現在の金利は世界的に見ても、過去の金利水準から見ても極めて低い水準にありますから、中長期的に見れば、金利は下がるより上がる可能性が極めて高いでしょう。ですから、金利上昇リスクを回避できる全期間固定金利型が一番安心できるローンと言えるでしょう。金利は35年返済の場合には2%前後ですが、フラット35なら1.58%です。3000万円の借入額だと毎月の返済額は9万3035円となります。変動金利なら8万円台ですから、借人後35年間金利がまったく変わらなければ、総返済額は約481万円も少なくなります。しかし、借入後5年ごとに金利が0.5%アップすると、反対に約105万円多くなり、1%ずつ上がると約779万円も増えてしまいます。

金融機関で適用金利は違ってくる!!

将来の金利がどうなるのかは、誰にも断定はできませんが、住宅ローンのリスクは生活基盤を脅かすことになります。返済期間の長い人は、全期間固定金利型で、より安全な資金計画を立てることが重要です。同じ全期間固定金利型でも金融機関や返済期間によって金利は異なってきます。自分か利用できそうな金融機関を回って、より有利なローンを見つけると同時に、少しでも返済期間を短くして、より低い金利で利用できるようにしてください。30年、35年の間には、この金利差が大きく響いてくるのです。返済期間を短くすれば、毎月の返済額は増えますが、総返済額は軽減できます。その上、適用金利が下がれば、相乗効果となって返済額を減らすことができます。借入額3000万円、35年返済で2.05%の金利だと総返済額は約4200万円なのが、30年返済で2.0%だと約3992万円に減り、20年返済で1.95%だと、約3625万円ですむ計算となります。

固定金利引き下げにも二つのタイプがある

住宅ローンには、店頭で表示されている金利(店頭表示金利)と、一定の条件の人が対象になる金利引き下げ後の金利があります。また、金利の引き下げ方法には二つのパターンがあります。一つは、当初の一定期間の引き下げ幅を大きくする「当初期間重視型」です。もう一つは、引き下げ幅は少し小さくなりますが、完済までの全期間、金利が同じだけ引き下げられるもので、こちらは「全期間引き下げ型」と呼ばれています。

メガバンクの金利タイプ別にみた適用金利の例をあげてみましょう。これをみると、当初期間重視型は、固定期間選択型を対象とするケースが多く、固定期間5年ものや10年ものは、その期間中1.8%引き下げますが、5年、10年経過後からは0.4~0.8%程度に金利の引き下げ幅が縮小します。一方の全期間引き下げ型は、それぞれの店頭表示金利より1.0%引き下げるようになっています。

固定期間の短いタイプは返済期間が長いとリスク大!!

当初の金利面だけでみると、固定期間選択型については、当初期間重視型のほうが有利のようです。が、問題は固定期間終了後の金利と毎月返済額。利用する返済期間が長いと、たいへんリスクが大きくなるのです。固定期間選択型5年ものを3000万円、35年返済で借りると、当初5年間の毎月返済額は9万8610円。店頭表示金利の3.55%なら12万6608円ですから、3万円近く毎月の返済額が減少することになります。しかし、6年目からが問題。金利が変わらなくても、金利引き下げ幅が1.6%から0.8%に縮小し、自動的に0.9%アップします。毎月返済額は11万円台になり、1割以上増加します。

また、店頭表示金利が1%上がっていれば、実質1.9%上がって、3割近くも毎月返済額が増えます。さらに、金利2%の上昇だと4割以上、金利3%のアップだと6割も毎月返済額が増えるのでから、返済計画に大きな支障が出てきそうです。返済期間が短ければ リスクはかなり小さくなるしかし、返済期間を短くすれば、このリスクはかなり小さくすることができます。

つまり、返済額増加率は35年返済に比べると半分程度に縮小するのです。もっとも、収入の増加にかなりの自信があり、教育費増大などの内部的なリスクがない人なら大丈夫でしょうが、なかなか収入が増えない時代には、これでも不安もしれません。しかし、返済期間を10年にできる人なら、だいぶ事情は変わってきます。返済額増加率は、金利が1%上がっても4%台で、2%上昇の場合でも7%台にとどまります。これぐらいのリスクであれば、当面の金利を優先して、固定期間選択型の固定期間の短いものを、当初期間重視型の金利引き下げ方法で利用するのが得策ということになるでしょう。

返済期間20年程度なら10年固定でも大丈夫
固定期間選択型10年ものについても、11年目以降の金利引き下げが0.5%にとどまることがあるため、5年ものと同じように、固定期間終了後のリスクを考慮しなければいけません。35年返済では、11年目以降の毎月返済額は、金利1%アップで3割近く、2%の金利上昇だと4割強、さらに3%上がると6割以上も増加してしまいます。しかし、20年返済にすれば、返済額増加率は、金利1%のアップで11%台、3%アップでも16%台に低下します。この程度であれば、10年間の収入増加などでカバーできる可能性が高いのではないでしょうか。そうでなくても、残りの返済期間はあと10年ですから、その時点でより金利の低い、変動金利型や固定期間選択型の固定期間の短いタイプに切り換えたり、惜り換えたりできます。残りの返済期間が10年であれば、変動金利型でも、固定期間選択型2年もの、3年ものでもリスクは小さいですから、問題はないはずです。よって、返済期間20年程度にできる人なら、固定期間選択型10年ものの当初期間重視型で、できるだけ金利の低い金融機関やローン商品をみつけるのが、より有利で安全な資金計画ということになりそうです。

3.【固定期間選択型】

固定期間選択型住宅ローンのデメリット
  • 固定期間終了時には金利が上がり、返済額が増える可能性がある
  • 固定期間の長いタイプは金利がやや高くなる
  • 返済期間でリスクが変わる
  • 固定期間終了時には金利が上がり、返済額が増える可能性がある
  • 固定期間の長いタイプは金利がやや高くなる
  • 返済期間でリスクが変わる

 

固定期間選択型住宅ローンメリット
  1. 特約期間中は市中の金利が上がっても金利は変わらない
  2. 金利引き下げ幅が大き<、実質金利が低い
  3. 特に固定期間の短いタイプは金利が低く、実質1%前後で融資が可能
特約期間中は市中の金利が上がっても金利は変わらない
金利引き下げ幅が大き<、実質金利が低い
特に固定期間の短いタイプは金利が低く、実質1%前後で融資が可能

 

固定期間終了時に返済額大幅アップするぞ!!

固定期問選択型というのは、2年、3年、5年、7年、10年などの特約期間中の金利が固定していて、その特約期間終了後には、その時点の金利で再び固定期間選択型にするか、変動金利型に切り替えるかを選択することになります。特約期間が短いほど金利が低くなります。特に地銀が多く扱っている住宅ローン商品です。

その最大の魅力は何といっても金利が低いという点です。下にメガバンクの金利の例を紹介しておきましたが、特約期間5年、10年でも、1%台の前半で利用できるところもあります。このため、特約期問が長いものを利用する人が増えています。ただ、デメリットには十分な注意が必要です。返済期間にもよりますが、借入陂に金利が上がると、返済額が大幅に増える可能性があるのです。変動金利型のような未払い利息が発生するリスクはありませんが、その半面、変動金利型のように増額時の増額率は25%までという決まりがないので、極端にいえば天井知らずに返済額が増える可能性があるのです。実はこれが怖いのです。

金利上昇で返済額50%以上増加もあり得る!!

たとえば、35年返済でこの固定期間選択型5年を利用すると、当初の毎月返済額は8万5386円となります。全期間固定金利型が2%とすれば、9万9378円ですから、1万円以上も負担が軽くなるのです。たいへん魅力的であるのはいうまでもありません。しかし、この1.05%というのは店頭表示金利の3.25%を5年間だけ2.2%引き下げるもですの。5年間だけです。5年後から引き下げ幅は1.4%になるので、金利が同じでも適用金利は1.85%になり、返済額は9万5461円で、10%以上増えてしまいます。仮に2%上がると12万円台の返済額で4割以上の増加と、影響も大きくなります。

このリスクは返済期間や特約期によって異なってきます。同じ固定期間選択型5年でも、返済期間を15年、10年と短くすれば金利が上がっても増額率は小さくなるのです。特に返済期間10年なら、金利2%上昇でも増額率は10%以内とリスクは極めて小さくなるので、むしろ積極的に活用して、低金利メリットを活かすべきでしょう。しかし、今後は金利が上昇すると言われています。また、特約期間10年だと、返済期問35年ではやはりリスクはかなり大きいのですが、20年返済ならリスクはさほどでもなくなるのです。

 

変動金利は未払い利息に注意が必要!!

変動金利ローンで必ず理解しておきたいのは、金利上昇のリスクです。変動金利型の返済は、利息と元金の両方を支払い、半年ごとに利息と元金のバランスを見直します。このときに、金利が上昇していると利息の割合が増加し、毎月の支払いが利息分だけとなることも考えられるのです。さらに利息の額が返済額を上回ると、未払い利息が発生します。いくら返済しても、元金がまったく減らないという事態に陥いることもあるのです。こうなると少しでも多く返済してローンを減らしたいところですが、ここで、変動金利の「返済金額の見直しが5年ごとで、最大上昇はもとの支払いの1.25倍まで」というルールがネックになります。たとえ1.25倍の上限いっぱいまで返済金額を増額できても、金利上昇がそれを上回っていれば、元金の返済がされません。変動金利の場合は、金利が上昇局面になったと感じたら、固定金利への変更を検討しましょう。

ローンの返済方法を選択するポイント

住宅ローンの支払い方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の二種類があります。元利均等返済は、毎月の利息と元金の合計額を一定にして返済します。毎 月の支出額があらかじめわかるため、 家計の中で返済計画が立てやすいという大きなメリットがあります。元金均等返済 は、返済額の元金部分が一定で、利息部分ははじめ大きく、だんだん減っていくという方式です。借入額や金利が 同じ条件であれば、元利均等返済よりも返済当初の額は大きいのですが、支 払い総額が抑えられるのが利点です。元利均等返済は利息の負担が大きい返済方法ですが、繰上返済などで支払う利息を軽減することも可能です。将来の家計状況を予想し、余裕の持てる返済方法を選びましょう。

元金均等返済 元利均等金利
毎月の返済額 当初は多く、利息の減少とともに減っていく 一定額を支払う(利息と元金の割合を按分)
特徴 ・返済するにつれて、利息の支払い額が減っていく・当初の負担が重い

・総支払い額は元利均等返済より少ない

・現在の支払い能力が高い人におすすめ

・フラット35、公的融資では利用できるが民間金融機関では利用できないこともある

・返済するにつれて、元金と利息の比率が変わる・返済プランが立てやすい

・総支払総額は元金均等返済より多い

ボーナス返済は注意が必要!!

ボーナスの組み入れ率は、公的融資とフラット 35では40%まで、民間融資は50%までと決ま っています。しかし、ボーナスの額どころか場合 によっては存在すら不安定な昨今はボーナス返済の組み入れ率を少なめにするのが安心だと言えるでしょう。毎月のローンを抑えてボーナス時に多く返済するプ ランは、一般的におすすめできません。マイホームを手に入れると、それまでの家より 広くなって光熱費が増えるなど、事前に予想でき なかった家計費の変化が起こります。ボーナスは それらに備えるために、できるだけ手をつけずに様子を見たほうがよいのです。  ボーナスをはじめから組み入れる場合は、ボー ナス月の支払い上限を、住宅購入以前にボーナスから住宅費として積み立てていた金額まで、としておきましょう。

ローンもメンテナンスが必必要です!!

住宅ローンは、有利なローンを選んでも、ときには見直しが必要です。長い支払い期間中には、金利の変化もありますし、もっと有利な条件のローンが出てくる可能性も大いにあります。借り換えは、借り手から見ると、あるローンから別のローンに引越すようなイメージですが、高い金利の住宅ローンの残債を低い金利のローンで一括返済すること、と言い換えることもできます。借り換えに向いているのは、固定期間選択型のローンなら固定期間が終了する時期。他のローンでも、今のローンより金利が1%低いローンを発見したら、借り換えを検討してみるとよいでしょう。また、毎月決まった額を漫然と支払うのではなく、計画的に繰り上げ返済をすることも意識しましょう。

★借り換えは ココに注意!

借り換えにも諸費用が発生する

借り換えは、新規に住宅ローンを組むことといえる。ローン保証料、抵当権抹消登記費用、登録免許税、司法書士への手数料、印紙代、ローン手数料などの諸費用は50~100万円ほどになるので、「金利が安いだけで飛びつくと、借り換えで損の可能性もあるのです。

借り換え先は民間融資のみ

フラット35、財形融資などは新規の住宅ローンのみが対象。借り換え先にはならない。

金利動向によっては損も

「固定金利→金利の低い固定金利」は、現在のローンの総支払額と、借り換え先のローンの総支払額から諸費用を差し引いた金額を比較すれば、利益がわかる。「固定金利一-変動金利」の借り換えは、将来金利が上昇した場合は損になる可能性もある。

今、借り換えると損になる人

・現在のローンが2%台の長期固定金利

・優遇金利の適用を現在受けている

・完済までの期間が短い

・一括返済のめどが立っている

ペアローン・2本立てローンが最近の流行り?!

住宅を購入するために、住宅ローンは1本にしなければいけないというわけではありません。教育費などで出費がかさむ時期を乗り切るために、ローンを2つ組むという方法もあります。同じようなローンを2つではなく、1本は太く短く、もう1本は細 く長くをイメージして組むのがコツです。たとえば、20~30代の家庭なら、太く短いローンのほうは、子どもの大学入学以前に 完済するようなローンにしておけば、一番教育費のかかる大学時には細く長いローンだけを支払えばよいので、その時期のローン負担が軽くなります。一方、定年退職後にロー ンが続くプランの場合は、2本のうち1本は 在職中に完済し。もう1本を細く長く支払えるような金額にすれば、年金生活の中でロー ンを抱える不安感が和らぎます。 繰上返済を考えている場合も、高い金額のローンの期間を短縮するよりも、2本の住宅ローンのうち1本の期間を短縮していくほうが、かんたんに目標を達成できます。

※元利均等と元金均等はどちらが良いのか?

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