家の買い方、建て方、そして契約まで!

家づくり

夢にまで見た一戸建てマイホーム。

胸躍る気持ちはわかりますが、一生に一度か二度の大きな買い物です。ここは慎重のうえにも慎重を期して臨みたいものです。さまざまな入手方法とそのメリット・デメリット、そして必要な手続きなどをしっかりとチェックする必要があります。ひと口に一戸建ての購入といっても、その入手方法には建売住宅と注文住宅があり、それぞれに手続きの違いがあります。さらに工法別にメリット・デメリットもあります。間違っても欠陥住宅だけは避けたいものです。自分にピッタリの一戸建て住宅を手に入れるために、土地から物件選び、契約までのポイントを解説していきます。

注文住宅、建売住宅、中古住宅、それぞれで買い方が異なる!!

一戸建ての家が欲しいと考えはじめたとき、あなたはどんな行動をとるでしょうか。折込みチラシや住宅情報誌などを集める人もいるでしょう。住宅展示場やモデルハウスに行く人もいるでしょう。あるいは、建築設計事務所や設計士を訪ねる人もいるかもしれません。そうややって情報を入手することは大切ですが、それですぐに契約までしてしまうのは軽率すぎるのです。その購入方法が本当に自分に合っているのかどうか、もう一度考えてみていただきたいのです。

情報を入手することは大切ですが、それですぐに契約までしてしまうのは軽率すぎます。その購入方法が本当に自分に合っているのかどうか、もう一度考えてみていただきたいのです。それは違います。方法の違いによって、手に入る住まいは大きく異なってくるのです。逆にいえば、まずは自分がどんな一戸建てが欲しいかをじっくり検討してから、手に入れる方法を選ぶ必要があるといってもよいのです。

土地だけの状態から新しく家を建ててもらうのが注文住宅、すでに建っているか完成前の状態の家を買うのが建売住宅です。さらに、注文住宅をどこに頼んで建ててもらうかによって、「建築家」「設計士」「ハウスメーカー」「工務店」に区分できます。一方、建売住宅のほうも「完成済み」と「未完成」に分けることができるでしょう。また、中古住宅については、すでに完成している家を買うという意味で、建売住宅と同じ流れになります。

こだわる部分によって頼む相手が異なる!!

たとえば外観デザインについては、既製品である建売住宅でも気に入ったデザインのものがみつかる可能性はありますが、オーダーメードの注文住宅のほうが自由度はかなり高まります。注文住宅のなかでもハウスメーカーの場合は、会社によってデザインの基調が制約を受けるので、個性的な外観にこだわるのであれば建築家や設計士に依頼するのがベストだといえるでしょう。デザインよりも立地条件や予算を重視するなら、建売住宅が有利かもしれません。恵まれた立地条件の土地は不動産会社や建売業者が買い取ってしまうことが多いので、土地だけを買おうとすると物件が限られる場合が少なくないからです。また、何棟かまとめて分譲される建売住宅の場合は、部材や設備仕様を統一すれば建築費を抑えることも可能なので、注文住宅に比べ、かなり割安に手に入れられる可能性もあります。

※地震に強い注文住宅を建てるための基礎知識

 

工事段階をチェックしたいのなら注文住宅か未完成物件!!

欠陥住宅が心配というのであれば、注文住宅や未完成の建売住宅を選べば工事中の現場を自分の目で確認することができます。ただ、技術的なポイントを素人がもれなくチェックすることは難しいようです。やはり望ましいのは、専門家にしっかり検査してもらうことです。建築家に依頼した場合なら、工事のチェックもそこに含まれるので、ほかの建て方に比べてかなり安心だといえるでしょう。あるいは注文住宅でも建売住宅でも、住宅性能表示制度を利用するのであれば、第三者の評価機関が検査することになるので安心です。

じっくり時間をかけてこだわりの住まいを手に入れたいのなら、注文住宅が適しているでしょう。逆に迷っている時問がなくすぐに入居したいのであれば、完成済みの建売住宅か即入居可能な中古住宅を買うのがお勧めです。あるいは、環境重視なら土地から探して注文住宅を建てる方法が考えられますが、街並みが整備されたニュータウンなどで建売住宅を買う方法もあります。また、2世帯住宅なのか夫婦だけなのかといった家族構成や、どのくらいの間その家に住むつもりなのかによっても、適した入手方法は異なってくるものです。自分はどのような一戸建てが欲しいのか、それによってどの方法で家を手に入れればよいのかを、じっくりと検討しましょう。

既製品感覚の「建売住宅」

最初に新築の建売住宅について考えてみましょう。不動産会社から家を買う建売住宅の場合、「駅に近い」「日当たりが良い」など立地条件に恵まれた土地に建っているケースが少なくありません。それは、土地の物件情報の流れに関係があります。土地の物件情報は一般に出まわる前に不動産業者内に流れるので、条件の良い土地は業者が買い、土地だけで売るよりも利幅の大きい建売住宅にして売ることが多いからです。

ただし既製品である以上、外観デザインや内装の仕様、キッチンや浴室などの設備機器も決められています。何棟かまとめて販売されるケースでは、隣近所が似たような外観で内装・設備もほぽ同じといラ場合も多いのです。建物が未完成の場合は買主が多少選ぶ余地はありますが、選択肢はさほど多いとはいえないでしょう。間取りも決められているので、「家族構成に合わせて間取りを考える」というわけにはいきません。その代わり、敷地の条件に合わせて床面積が広くとれるよう、効率よく間取りが設計されているケースが一般的です。間取りや仕様などのプランニングにあれこれ頭を悩ませたくない、という人には向いているといえます。

間取りや仕様が標準的であれば、価格も抑えめに設定されていると期待できます。ただし、一概に割安であるとはいいきれない場合もあるようです。もちろん建売りがすべて「安かろう、悪かろう」というわけではありません。住宅性能表示制度を利用して性能評価書を付けるなど、基本性能を重視した建売住宅も多いのです。敷地にゆとりのない物件も少なくありませんが、郊外型のニュータウンなどでは、整然と区画された街並みや緑豊かな住環境を手に入れることも可能です。

建売住宅と注文住宅の中間「建築条件付き」

建売住宅に似たタイプの一戸建てに、「建築条件付き」と呼ばれる物件があります。これは「一定期問内に指定の施工会社と建築工事請負契約を結ぶこと」といケ条件の付いた土地を購入するものです。土地を買って家を建てるという点では注文住宅の一種と言ってよいでしょう。ただし、施工会社やハウスメーカーが指定されているうえ、「参考プラン」などとして建物の間取りプランがほぼ決まっており、希望に応じて少し手直しをする程度で着工されるケースも少なくありません。

要するに、本来は建売住宅として販売してもよいところを、建物が完成したあとに売れ残るリスクを避けるなどの理由で、買主が決まってから工事を始めるに過ぎないケースも多いようです。その意味では、建築条件付きは建売住宅の一種だと考えてもよいかもしれません。とはいえ、工事契約を結ぶまでには一定期間の猶予があるので、その間にじっくり相談して希望に合ったプランを練ることもできなくはないはずです。建築条件付きの物件を買う場合は、そうしたプランニングの余地がどの程度あるのかを、土地を買う前に確認することが重要になるのです。

こだわりの家を建てたいなら「注文住宅」!!

更地に一戸建てを建てる「注文住宅」の場合は、設計や施工をどこに依頼するかで、手に入る住宅やかかる手間が大きく変わってきます。ここでは「建築家」「ハウスメーカー」「工務店」の三つのパターンをみてみましょう。

【建築家】

建築家というと、素人にはとっつきにくい芸術家といったイメージがあるかもしれませんが、「一級建築士」や「二級建築士」という資格の名称を考えれば、身近な存在だと感じられるのではないでしょうか。「○○設計事務所」「〇〇建築士事務所」などの看板を出して仕事をしているので、そこに直接依頼することになります。建築家に依頼するのは建物の設計についてなので、実際の工事は工務店などが施工します。工務店は自分で探してもよいのですが、たいていの建築家は知り合いの工務店を紹介してくれます。建築家に依頼する最大のメリットは、プランニングの自由度が高いということです。「世界に一つしかない問取りの家が欲しい」「天然素材にこだわりたい」などの希望がある大向きといえるでしょう。

とはいえ、建築家にも得意・不得意があるうえ、さらにはセンスや好みが合うかどうかも大きな問題です。建てる人の希望を生かした設計ができる建築家をみつけるには、インターネットや雑誌などで時間をかけて探す必要があるでしょう。そうした依頼先探しやプランニングに時間と労力をかけることが苦にならないのならば、建築家に依頼して一緒に家をつくっていくのは、貴重な体験になるに違いありません。

また、建築家に頼むと高くつくという思い込みがあるかもしれません。たしかに、建築費用のほかに設計監理料が工事費の10~20%程度かかるのが一般的です。とはいえ、打合せの段階で予算を伝えれば、その金額の範囲内でプランを練ってくれるのが通常なので、必ずしも割高とは限らないのです。むしろ工務店からの工事費の見積りや工事現場のチェックもしてくれるので、適正な価格で安心な住まいが手に入りやすいという側面もあるのです。

【ハウスメーカー】

テレビCMなどでお馴染みのハウスメーカーは住宅を建てる部材と、それを用いたオリジナルの工法を開発し、施工を担当する下請けの工務店に供給します。実際に建てるのはその地域の工務店ですが、住宅には「○○ハウスの家」といった統一のブランド名が冠せられます。

ハウスメーカーは工務店と比べて規模が大きいので、大手ならではの安心感をもつ人も多いようです。インターネットや雑誌で商品や店舗の情報に簡単にアクセスできるほか、各地の住宅展示場に行けば商品が見学できるなど、気軽に相談できる点も特徴です。また、工法によってはほかの注文住宅に比べて、依頼から引渡しまでの期間が比較的短いというのもメリットの一つといえるでしょう。また、多くのハウスメーカーでは研究部門を設けて、技術開発や基本性能の向上に取り組んでいます。間取りプランの自由度も高いでしょう。ただし、デザインや仕様についてはブランドによる統一された規格があるので、ある程度の制約は避けられません。

価格や坪単価はそのハウスメーカーによってさまざまですが、割安とはいえません。技術やデザイン、営業など多くのスタッフを必要とするほか、テレビや雑誌などの広告宣伝にもお金がかかるので、それらが最終的に住宅価格に反映されることになるからです。

【工務店】

地域内で営業する工務店に注文住宅を依頼する方法もあります。工務店にも大小さまざまあり、設計や営業のスタッフを大勢抱えた、長規模なハウスメーカー並みの規模のところもあれば、設計は手がけず数名のスタッフで施工だけ担当する会社もあります。自分たちで設計を手がけない工務店でも、外部の建築士事務所に設計を発注するのが一般的なので、設計の段階から相談することは可能でしょう。

小規模な工務店の場合は経営状態がよくわからない場合も少なくないようですが、その地域で長く営業している会社かどうかが一つの目安になります。地元の評判がわかりやすいのも、工務店の特徴でしょう。建物の基本性能に不安が残るケースがあるかもしれませんが、2009年10月からは、10年保証を保険などで裏づける「住宅瑕疵担保履行法」が施行され、引渡しから10年以内なら売主や施工会社が倒産していても、基本構造部分の欠陥を保険金などでカバーできるようになっています。

何より工務店の最大のメリットは、価格を割安に抑えられることでしょう。抱えるスタッフが少なく、広告宣伝費も最小限であれば、建築コストに上乗せされる金額も少なくて済みます。ただ、1社に依頼するだけでは本当に割安かどうかはわかりません。複数の会社から見積もりをとるなどしてチェックする必要があります。それと、ハウスメーカーに比べて小まわりが利くので、こまめに対応してくれるという点も、工務店の良さです。

【中古住宅】

中古住宅はやはり価格が手ごろである点が大きなメリットです。新築住宅のように売主の利益が価格に上乗せされることはなく、相場に応じた価格になっている点が、他とは大きく異なる点です。ただし、売主の事情によってやや高めに値付けされているケースもあるので、周辺相場をよく調べることが大切です。

中古住宅の場合、当然のことながら設備や内装も中古です。築年数にもよりますが、最新設備と比べて機能や使い勝手で劣る面があることは仕方ないでしょう。床や壁に多少の傷や汚れがあることも避けられません。そうした中古のデメリットをカバーするために、購入と同時にリフォームやリノベーションする方法があります。ただし、工事費が上乗せされる分、割安感は薄まります。

すでに建物が建っているので、日当たりや窓からの眺めなどを確かめられる点もメリットでしょう。骨組みは壁の中に隠れてしまっているのでチェックは難しいのですが、完成してすでに何年か経っており、不具合などがあれば表面に現れているはずです。

一戸建て住宅を手に入れるために、いつ、どんな手続きが必要になるのでしょうか。代表的なケースとして、建築家に依頼する場合と建築条件付きの土地を買う場合、それに建売住宅を買う場合について解説していきましょう。

建築家に依頼するケース

まず土地を買って建築家に依頼するケースですが、一般的には土地探しと建築家探しとを同時進行させることが多いようです。ケースによってはまず建築家を決め、希望する家を建てやすい土地を一緒に探す場合もあります。ただし、本当はその前に必ずやらなければならないことがあります。それは、自分たち家族の中で住みたい家のイメージをしっかりつくっておくことです。これは、どんな方法で家を手に入れる場合も必要なプロセスですが、とりわけ建築家に依頼する場合は重要です。

土地と依頼先が決まったら、具体的なプランニングにかかります。建築家に希望を伝えながら、最初はラフなプランから徐々に詳細なものへと詰めていって、同時に見積りも作成してもらうことになります。このプランニングにはじっくりと時間をかけたいものです。最低3か月はとって、建築家と一緒にゼロから家をつくりあげていくという気持ちが大切でしょう。なお、土地の購入代金はあらかじめ銀行などに借入れを申し込んでおき、売買契約後に実行してもらうのが一般的です。その際、民間ローンを利用する場合は土地分の融資と建物分の融資を分けて実行してもらうことも可能ですが、フラット35では土地のみの融資は基本的に不可能です。そのため、土地分は銀行で借りて、建物分のみフラット35で借りるケースもあります。

工務店が決まり、建築工事請負契約を結んだら、いよいよ着工です。工事中は建築家が定期的に現場をチェックしてくれますが、施主(建主のこと)も足を運んで進行状況を確認するようにしたいものです。その間、地鎮祭や上棟式などの独特の行事もありますが、これらは建築家や工務店と相談しながら進めるとよいでしょう。なお、民間ローンを借りる場合は、この間に金銭消費貸借契約(ローン契約)を結びます。また、工務店に中間金を支払ケ場合は、そのための手続きも必要です。

建物が完成したところで施主が立ち会って竣工検査が行なわれ、必要な手直しを経て引渡しとなります。民間ローンの場合は同時に融資が実行されます。フラット35の場合は、建物が完成し現場検査が終わってから金融機関とローン契約を結び、同時に融資実行となります。フラット35では竣工まで資金が受け取れませんが、事前に支払いが発生するときは金融機関のつなぎ融資を利用できる場合があります。

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建築条件付き土地に建てるケース

建築条件付きの土地を買う場合は、購入する土地を決めることからスター卜します。不動産会社などの情報を集め、気に入った物件がみつかったら、売主の不動産会社と土地の売買契約を結びます。その際、契約書に「一定期間内に指定の工務店と建築の契約を結ぶこと」といケ条件が盛り込まれます。もしプランニングの折合いがつかず期間内に契約が結べなかった場合は、そもそもの土地の売買契約が白紙に戻され、支払った手付金などは返還される決まりになっています。なかには土地の売買契約と建築工事請負契約を同時に結ばされるケースもあるようですが、契約を解除しても支払ったお金が戻ってこないことがあるので避けるべきです。

無事に建築の契約が結べたら、その後の工事は基本的に建築家に依頼するケースと変わりません。ただ、建築中の現場をチェックする監理者が同じ工務店の社員だったりするので、建築家のように第三者的な立場でのチェックは期待できないかもしれません。この点は工務店や(ウスメーカーに直接依頼する場合も基本的には同じと考えてよいでしょう。住宅ローンに関しても建築家に依頼する場合とほぽ同様で、土地と建物の二本立てになります。フラット35を使う場合は土地分を銀行で借りることもできますが、土地・建物とも銀行ローンを利用するケースも多いようです

建売住宅を買うケース

建売住宅の購入は非常に簡単です。注文住宅ほど複雑ではありません。まずは気に入った物件を探します。広告や情報誌に加え、最近はインターネットを活用して条件に合った物件選びをする場合が多いようです。そして購入物件が決まったら売主の不動産会社と土地・建物の売買契約を結んで終了です。建物が完成済みならそのまま引渡しを受けて入居できますが、未完成の場合は竣工を待つことになります。その場合、希望すれば工事期間中に現場を見せてもらうこともできるでしょう。また、未着工のケースでは多少の間取り変更や壁紙の変更などができる場合もあるようです。
住宅ローンについては事前に金融機関に相談して「いくら借りられるか」の目安をつけておき、売買契約の段階で正式に申し込みます。未完成物件の場合は竣工を待ってから引渡しを受け、同時に融資実行となります。なお、仲介会社を通して購入する場合は、売買契約の際に手付金と一緒に仲介手数料の半額を支払い、残りの半額は引渡し時に支払うパターンが一般的です。

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