「相続時精算課税制度」はデメリットばかり?

税金

贈与税は何もしないとこんなに税金が高い!!

親子など肉親間の贈与であっても、年間110万円を超える贈与は贈与税の対象になります。どれくらいの税額になるのかは、下の図をご覧ください。実際の税額計算は、下の計算例のようになります。たとえば、年間1500万円の贈与を受けるとき、年間の非課税枠(基礎控除)を除いた1390万円が課税対象になります。1000万円を超えると税率は50%ですから、1390万円に0.5をかけて、控除額である225万円を引くと税額が出てきます。この場合の税額は470万円です。1500万円もらっても、そのうち税金として470万円を払わなければならないと、手元には1000万円ほどしか残らないことになってしまいます。

しかし、2003年に創設された「相続時精算課税制度」を利用すれば、親の年齢が65歳以上などの一定の条件を満たす場合には、2500万円まで非課税になります。住宅取得資金としての贈与の場合は、親の年齢制限はなくなり、特例枠として1000万円加算されて、合わせて3500万円まで非課税になります。1500万円の贈与なら、ひとまず税負担はゼロで済むことになります。

 

相続時に贈与分も合わせて税額を算定する

この相続時精算課税制度の概要は下の図にある通りです。対象となるのは、65歳以上の親から、20歳以上の子どもへの贈与で、2500万円までは非課税ですが、2500万円を超えた場合は、超えた部分について、一律20%の税金がかかります。たとえば、3000万円の贈与であれば、2500万円との差額の500万円に20%税金がかかってきます。贈与した分も加算して、相続税を計算するのです。その結果、基礎控除以内であれば相続税はゼロとなり、生前贈与時に支払った100万円は還付されます。基礎控除を超えて相続税負担が発生するときには、贈与税として支払った100万円を税額から差し引くことができます。

さらに、この相続時精算課税制度では、先はどもふれたように、住宅取得資金として贈与した場合に限り、さまざまな特例を設けています。一つは、前述した特例枠1000万円が加算されて、3500万円まで非課税になるということ。また、それと同時に、親の年齢要件がなくなるという点も大きなメリットといえます。

 

年間4万人近い人が特例を利用している!!

現実間題として、マイホーム購入適齢期を30代前半とすれば、親が65歳未満という人も少なくないはずです。その場合、通常の相続時精算課税制度は利用できませんが、特例を利用すればOKになるわけです。1000万円の増額という面だけでなく、年齢面での要件の緩和の影響が大きいことは上でも述べています。年間にすると、4万人近い人がこの特例を利用していますが、平均贈与額は1200万円台となっています。この金額なら、原則の相続時精算課税制度でいいはずですが、あえて特例を使うことで、年齢要件をクリアしている人が多いとみられます。なお、2003年にこの制度がスタートしたときの平均贈与額は1400万円台だったのが、最近はやや減少し、反対に利用する人は増えています。

制度創設時には、それまで買えないと思っていた人が、多額の贈与を受けて買ったヶIスが多かったのが、最近は制度が広く浸透して、ようやく落ち着いてきたとみていいのではないでしょうか。なお、制度の原則と特例を比較したのが下の図です。特例は、贈与者の年齢に制限はない一方、贈与するものは住宅を取得するための金銭に限られます。原則は金銭以外の不動産でも可能です。また、特例は2020年1月31日までの期間限定となっています。期限が延長される可能性もありますが、制度を利用したいと思つているのなら、早めに動いたほうがいいでしょう。

贈与税にも非課税枠500万円が追加!!

2019年度から、経済危機対策の追加施策としては、相続時精算課税制度とは別に、住宅取得資金としての贈与に限り、毎年の非課税枠110万円とは別に、500万円の非課税枠が創設されました。これを「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の特例」といいます。通常の非課税枠110万円と特例枠500万円で、年間で最高610万円まで非課税になります。さらに、相続時精算課税制度との併用も可能です。この場合には年間の非課税枠110万円は除かれますが、相続時精算課税制度の住宅取得資金贈与の特例3500万円と、500万円の非課税枠の特例とで、合計4000万円まで非課税になります。ただ、この特例は2020年12月31日までの時限措置である点には注意が必要です。

 

相続時精算課税制度の原則と住宅取得等資金贈与の特例の比較

受贈者20歳以上の推定相続人(代襲相続人を含む)20歳以上の推定相続人(代襲相続人を含む)

贈与財産の制限贈与財産に制限はない住宅取得の対価にあてる金銭に限定

特別控除額累積2500万円左の特別控除額に1000万円がプラスされ特別控除額は3500万円

贈与税の計算特別控除額を超えた部分に一律20%の贈与税が課税

特別控除額を超えた部分に一律20%の贈与税が課税

適用年の翌年以後親の死亡時までの贈与全部について精算課税の適用あり

親の死亡時までの贈与全部について精算課税の適用あり

 

申告義務

選択後は親が死亡するまで受けた贈与全部について申告義務あり
選択後は親が死亡するまで受けた贈与全部について申告義務あり
相続税の課税対象となる

 

被相続人からの贈与

選択後のすべての贈与選択後のすべての贈与
撤回相続時精算課税を選択したら撤回はできない
相続時精算課税を選択したら撤回はできない
適用期限特になし2019年12月31日まで

 

1.適用対象

住宅を取得するための金銭を親が子に、祖父母が孫に行なった贈与が対象となる。あくまでも住宅を取得するための資金であり、住宅ローンの返済資金、土地の取得資金は対象にならない(ただし、建物と同時の土地取得は可)。

 

2.非課税枠

合計500万円まで非課税となる。

 

3.取得する住宅の条件

床面積50㎡以上であり、中古住宅の場合には築後年数20年以内(耐火建築物は25年以内)のもの、または一定の耐震基準を満たす住宅。

 

精算課税制度

1.適用対象

65歳以上の親から20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)に対する贈与。

 

2.適用手続き

相続時精算課税制度を選択する子は、その選択にかかる最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付して提出する。

 

3.贈与税額の計算

相続時精算課税制度を選択した場合の贈与税の計算は、通算2500万円の特別控除額を控除したあとの金額に、一律20%の税率を乗じて計算する。

 

4.贈与税額の精算

相続時精算課税制度を選択した子の贈与税は、相続時に精算する。

 

5.住宅取得等資金にかかる相続時精算課税制度の特例

自己の居住用家屋を取得する資金の贈与を受ける場合には、65歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税制度が適用でき、2500万円の特別控除額に1000万円を上乗せして、特別控除額が3500万円になる。ただし、この4寺伊リの適用は2009年12月31日までの時限措置。

 

6.上記5の特例を受ける場合の取得する住宅の条件

床面積50㎡以上であり、中古住宅の場合には築後年数20年以内(耐火建築物は25年以内)のもの、または一定の耐震基準を満たす住宅。

 

相続時精算課税制度の問題点・デメリット

相続時精算課税制度は、相続人が相続財産を受け取った際にその価値に基づいて支払われる制度です。以下、相続時精算金銭制度の主な手続きをいくつか説明します。

相続財産の評価の難しさ

相続時精算では、相続財産の評価が必要です。しかし、財産の評価はしばしば困難であり、評価に関する闘争や紛争が起こる可能性があります。には専門知識や専門家の助けが必要となり、その費用がかかることも当然ありません。

 

現金化の困難さ

相続財産が不動産や株式などの非現金資産である場合、相続人はそれを現金化して税金を支払う必要があります。ただし、相続財産の現金化には時間や手続きが必要ですそのため、現金化によって財産価値が十分に現れない場合には、相続人にとって負担となる可能性があります。

 

資金不足による負担

相続時精算では、相続人は相続財産の価値に応じた税金を一括して納付する必要があります。な資金を用意しなければなりません。相続人が資金不足である場合、負担が大きくなる可能性があります。

 

相続財産の売却強制

相続人が相続時精算金銭を支払うために現金化する必要がある場合、相続財産を売却することが求められる場合があります。維持することができない可能性があります。また、売却時の市場価格や需要の変動によって、不動産の価値が減少するリスクもあります。

 

再投資の悩み

相続時精算によって相続人が財産を売却して税金を支払う場合、再投資に悩む可能性があります。売却した資金の一部を再投資することで税金を軽減することはできますが、再投資先には保留があります。 仮に、再投資先が得られる税金やキャピタルゲイン税の対象となる場合、相続人は再び税金を支払う必要が生じる可能性があります。

 

資産の分割が困難

相続時精算では、相続人は相続財産全体に対して割り当てられます。 ただし、相続財産が共同名義や複数の相続人によって全てされている場合、資産の分割が困難になる一部の相続人が財産を引き継ぐことを考えている場合でも、相続人全体の金銭負担が発生するため、財産の分割や調整が必要になる可能性があります。

 

高い配当

相続時精算では、相続財産の価値に応じて高い手数料が適用されることがあります。このため、相続人は大きな負担を強いられる可能性があります。 、具体的な特例については地域税法に基づいて確認する必要があります。

 

これらの手続きは相続時精算金銭制度が相続人にとって財産の取得や管理にかかる可能性があることを示しています。において、相続人は複雑な手続きや負担を感じることがあります。個々の状況や地域の税法によって異なるため、具体的な対処は事前に専門家に相談することを推奨します。

コメント