2×4工法のメリットは「長寿命」「高気密高断熱」

家づくり

2×4工法・2×6工法の3つのメリット

【高寿命】

2×4住宅のメリットの最初にあげられるのは、まずは長命住宅であるということでしょう。しかし、メンテナンスのない長寿はありえない事は理解していただきたい。2×4工法に代表される北米住宅は家全体が六面体の箱を形成するため、縱、横、斜めのどの方向からの荷重に対しても強い耐性を発揮します。ですから、耐震、耐風力に富んだ建物なのです。また基礎と土台の緊結、壁や床下の防湿・防蟻処理も適切に行われているので、住宅の耐久性を損なう外部的、内部的な要囚に対して非常に強い住まいなのです。耐久力に富み、丈夫で長持ちする特徴があります。北米の2×4工法には200年の歴史があり、建物の強度を高めるための改良が何度となく重ねられている。工法としては、わかりやすい誰にでも建てることができる単純なもので、匠技は不要ですが、住宅生産は完全にシステム化されているのです。使用する部材はもちろん、釘の種類や打つ位置までシステマティックに決められているので、一定の技術さえマスターすれば素人の日曜大工でも施工、改良が可能なのです。リフォームやメンテナンスがしやすく、それが住宅寿命の長期化にも寄与しています。

【高気密高断熱】

2番目のメリットは、高い断熱性と気密性による快適性能といえるでしょう。壁、床、天井、屋根裏にI100ミリ~200ミリ厚の断熱材を入れたうえ、壁枠の外側には構造用合板、室内側には石膏ボードを入れます。また窓や扉にはペアガラス(二重窓)を使用するのは、輸入住宅では常識になっています。北米では一枚ガラスのサッシを購入するのは建築許可が下りないのです。さらに、壁内結露を防ぐためベーパーバリヤー(防湿シート)をして、断熱効率を高めています。こうして高気密・高断熱を実現したうえで、セントラルエアコンによって常に屋内の空気の温湿度を一定に保ち、新鮮な空気を外部から温度交換しながら導入しています。屋外がどんな気候であっても、室内では快適な生活ができる家づくりが徹底されているのです。そのため輸入住宅は「冬暖かく、夏涼しい」となるのです。真冬でもTシャツ一枚で過ごすことができるわけです。しかし、それはぜいたくではないのです。断熱性が高いということは、エネルギー消費量が低くてすむということであり、省エネ効果も非常に大きいのです。

住宅の断熱方法には、建物の構造によっていくつかありますが、地域の気候やコストとも考え合わせて最適な工法を選びます。鉄筋コンクリート構造には、構造体の室内側に断熱材を設ける内断熱工法や、外側を断熱材ですっぽり覆う外断熱工法があります。木構造や鉄骨構造には、構造体の内部に断熱層を設ける充填断熱工法や、屋外側に断熱材を張り付ける外張断熱工法があります。比較的温暖な地域では、内断熱や充填断熱工法が一般的です。一方寒冷地では、コストは割高となりますが、外断熱や外張断熱工法が最適といえます。

外断熱や外張断熱工法は、内断熱や充填断熱工法に比べて、構造体に蓄えられる熱量(熱容量)が大きくなります。結果、室内が暖まるまでには時間を要しますが、冷めにくい省エネ構造となるので、建物全体を連続的に長時間暖房する寒冷地住宅にはうってつけの工法です。また、外断熱や外張断熱工法は、構造体の腐朽の要因ともなる内部結露が生じにくいという長所もあります。内部結露は、構造体内部に侵入した水蒸気が内部で冷やされ水滴となる現象で、室温と外気温の差が大きい寒冷地ほど生じやすくなります。しかし、構造体の外側で断熱が行なわれる外断熱や外張断熱工法では、外壁や屋根裏も室内と同じ温度に保たれるのです。

【オープン設計】

もう一つのメリットは、オープンプランニングです。日本の住宅は、一つの家の中に小さな部屋をたくさんつくるところに特徴があります。廊下と居室の組み合わせによる伝統的な間取りに、家族の個室をつくることが一般化したため、狭い空間を細分化し、なおさら狭く使うことになるのです。そのため室内の空間に広がりが感じられず、開放感にも乏しい設計が多いのです。この点、欧米の住宅は個人のプライベート空問と家族全体が集うパブリックな空問をきちんと分け、リビングやダイニングといったパブリックスペースにはドアや廊下などの間仕切りを設けないで、一体的な空間とする設計思想が根付いています。要するに、コミュニティーに広場があるように、家の中に広場を作るのです。

これによって、限られた空間でもできるだけ広く使うことができ、柔軟でゆとりある、くつろぎが感じられる空間設計が可能になるのです。家の外周部を徹底した高断熱、高気密を行がこれを実現しています。このほかにも室内の耐火性、多様で洗練されたデザインなども、輸入住宅のメリットとしてあげられます。

それぞれを、もう少し詳しく解説していこう。

耐震性が高く、シロアリに強い、高寿命の2×4工法!!

わが国にある米軍施設の多くが2×4工法で建てられていることは有名な話です。以前、東京のある米軍施設の取り壊しが行われたときの興味深いエピソードを紹介しましょう。

米軍施設の取り壊しの現地調査に出向いたが、そこで取り壊しを請け負った解体業者のぼやきにあったのです。枠材を釘で組み立てた2×4工法住宅なら、釘が錆びたり、枠材が腐っているにちがいないから簡単に壊せるだろう。そう踏んで見積もりも立てたらしいのが、実際には、建物が頑丈すぎてまったく壊せな買ったのです。音をあげた業者は、壊せないなら火をつけて燃やしてしまえないだろうかと真剣に悩んだと言っていました。それほど2×4工法の構造耐力と耐久性は強いものかと、感心させられました。

2×4工法は、断面が2×4インチの基本部材で枠組みをつくり、そこに構造用合板を張ってパネルを構成しています。これを組み立てて躯体をつくっていきます。このランバーと構造用合板を一体化した壁枠で床、壁が緊結され、家全体が大きな六面体を形成するのです。このため、地震や風圧が加わっても、六つの面に力が分散し、変形しにくいのです。これはダイヤフラム理論と呼ばれます。建物が一つの「箱」となり、この箱が総体として地震など外からの力に対して強い耐性を生み出すのです。柱と梁の軸材の組み合わせで建設される在来工法との強度の違いがここにあるのです。ただし、壁(耐力壁)に開口部をとりすぎると、つまり、あまり窓を大きく、多くとると、応力を分散して伝える壁の面積が少なくなり、耐震性は下がってしまいます。注文住宅を建てる場合はこの点には注意が必要です。

また、間取りの取り方によって、耐力壁が上下の階で重ならないような場合でもウッドフレームプラットフォームエ法(2×4工法)の床の剛性が高いので構造壁でなければ問題はないでしょう。最近では、日本の在来工法の感覚で設計、施工され、輸入したのは部材だけという例も少なくないのが実状です。十分な耐力と構造を持った安全な住宅か、念入りにチェックする必要があるでしょう。シンプルで、奇をてらわないデザインのものが安全と考えたほうが良いでしょう。ほかにも、基礎に防湿コンクリートや防湿フィルムを施して防湿性を高め、また腐食や白アリ被害を防ぐために、木材に防腐・防蟻剤を加圧注入するなど、耐久性維持の工夫がなされています。高温多湿の日本では、ことに梅雨期などには、建物の壁内部や床下に湿気がこもってダ二やカビの温床になり安いのです。一般に、家の床下地盤面からは50坪当たり一日にコップ150杯分の水分が蒸発するといわれています。

阪神大震災の3~4年前に連続して北米西海岸サンアンドレアス断層の活動により起こった大地震、ロマブリータ、ノースリッジ以後、基礎はスラブオングレードが主流になっています。これは白アリのすみかを取りあげていることにもなるため、こちらにも有効でしょう。特に白アリ対策は、北米では徹底していて、使用する木材に防腐・防蟻剤を高圧ドラムで注入したC・C・A材を使っています。C・C・A材はランクがあるが寿命は60年くらいもつ薬剤です。特にC・C・Aは問題はなくはないのですが、取り扱いを正確に行えば害はないと言われています。一方、在米工法住宅の場合、土台を表面塗布処理するだけのことが多く、5年もたてば白アリの格好のえじきとなってしまうのが現実です。骨粗鬆症のように、家の骨格である柱や材木がすかすかとなり、原材のままの強度を保つことが期待できないでしょう。阪神大震災で倒壊した家のうち、白アリと漏水による腐朽が進んで、建物の耐性を大きく損ねていた例が多かった事は他のページでご紹介しました。住宅の耐久性保持のため、北米の防腐、防アリ対策を積極的に取り入れるべきでしょう。

徹底した高気密高断熱が2×4住宅のメリット!!

日本家屋は通風が良い。これは常識のようになっていますが、実際には真夏、外の気温が30度を記録しているとき、室内は45度を超えていることだってめずらしくないのです。さらに湿度が高く85%~95%まで上がるのです。この常識は間違いといえるでしょう。また風通しがよいということは、冬は極めて寒いということですが、住人がそれに耐えられるかも問題です。これは日本家屋では開口部を多くとるが、断熱の工夫がほとんどなされていないことから起こる減少です。

もともと日本では住居内に積極的に外気をとりいれ、季節の変化を楽しむ文化がありました。これに比して、欧米では戸外の厳しい自然環境からいかに室内を遮断し、生活を守るかということに、特にオイルショック以後に大きな関心が向けられてきました。そのため2×4住宅では、ことに外壁が頑丈で、分厚い断熱材や構造用合板、ペアガラスの使用などで二重、三重に家をくるむ、魔法瓶にたとえられるような構造で高気密・高断熱の効果を上げてきたのです。近年、さらに省エネに対する関心が高まり、その性能により磨きがかけられています。一般的な輸入住宅では、室内にせっかくためたエネルギーを逃がし、保温効果を損ねやすい外壁にも熱伝導率の低い断熱材(外断熱)を使用し、壁内断熱材とあわせて、内部と外部を二重構造にしているケースもあります。外部の温度と湿気を室内に入れない工夫と、せっかく室内にためたエネルギーを安易に放出しないことが基本なのです。断熱材は16インチ幅に並ぶ間柱(スタッド)の間にすきまなく埋め込んでいきます。断熱材の厚さは2×4スタッドであれば100ミリ程度、2×6スタッドであれば150ミリ程度を入れるのが一般的となっています。カナダでは2×8スタッドで200ミリを使うケースもあります。また、ビルダーによっては、床や天井に公庫基準を上回る200ミリ以上の断熱材を用いるところもあるほどなのです。

また、開口部にもペアガラス入りサッシを使用するのが一般的になっています。窓ガラスを二重にすることで、やはりその間に空気の層をつくりアルゴンガスを注入することで断熱効率を上げたり、ローイーコーテイングされた紫外線をカットするガラス、ピートミラーガラスは逆に冬の太陽エネルギーを取り入れる性能を持ったガラスなど年々効率良い省エネ効果を追求したサッシュが開発されています。そのペアガラスにしても、外部フレームに、木製や外部側をアルミでクラッド(被履-防火および防腐)したものや、フレームを特殊ビニールなどを使って断熱性を高めています。二重ガラスには遮音効果もあり、結露も防ぐので建物の耐久面でも評価されているのです。

広々とした空間演出と自由な間取り設計!!

家の中に「広場」と「プライバシー」が共有できるのも2×4住宅の大きなメリットです。壁で荷重を支える構造の2×4工法住宅は、耐力性能が高い。耐力が強いということは、広く大きな空間をつくることが可能なのです。箱自体が頑丈であれば、箱の中は空洞であってもかまわない理屈です。そのため大きな吹き抜け空間をつくり、開放感を演出したり、玄関ホールからリビングルーム、ダイニングルーム、階段室までを一体の空間としてつくることができるのです。限られた空間をできるだけ大きく使うことや、住み手の希望にあわせた空間づくりが可能になるのです。オープンプランニングが北米住宅の設計の大きな特徴です。つまり、プライバシーの必要な部屋と広場を組み合わせた空間構成が可能となっているのです。北米住宅にはいわゆる間仕切りが少なく、「だだっぴろい」感があります。また吹き抜けは一階と二階の間仕切りをなくすことでも出来るのです。つまり横にも縱にもオープン空間を設けることで、デザイン的には上下と奥行き、すなわち立体的な広がりが出るわけです。これによって輸入住宅では、それほど大きな住宅ではないにもかかわらず、空間が広々としているのです。「小さな家を大きく見せる」ことが可能なのです。

また、住宅に使用される建材の規格が統一されていることは、それらを自在に組み合わせることを可能だと言えます。好きな広さで好きな形状の部屋を、好きな建材や建具でつくるなど、自由な設計、空間づくりができるのです。3×6とか、モジュールとかにしばられ、使いづらい床下幅、家具の入らないドア幅など、空間に関する考え方に、独特な悪癖があるといってよいでしょう。実際、輸入住宅といっても北米や北欧の間取りをそのまま持ってくるだけでなく、わが国特有の住まい方やプランを柔軟に取り入れるケースも多いのです。二世帯住宅や靴脱ぎの玄関、畳の生活をしたいという要望に応えて和室を設けることも少なくないのです。たとえば35坪、4LDKの家だと通常、各部屋の広さは狭くなります。しかし、吹き抜けをつくり、間仕切りをなくす。そして和室を二階につくり、一階のリビングからでも吹き抜けを通して和室が見えるような設計にすると、「和」のニーズを満たすとともに空間的な広がりも演出できるのです。しかし、わが国の住宅は個室をとるのに精いっぱいの面積しかなく、家の中に広場がとれないのが現実です。。自由な設計によって柔軟な間取り対応ができるフレキシビリティも2×4住宅の大きなメリットのひとつです。

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